昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

『サラダでげんき』

昇平の国語の教科書に『サラダでげんき』という教材が載っている。(東○書籍/かどのえいこ作)
女の子が病気で寝ているお母さんのためにサラダを作り始めると、いろいろな動物が登場して、「○○を入れたほうがいいよ」と教えてくれる。そうやって出来上がったサラダをお母さんに食べさせると、お母さんはいっぺんで元気になってしまった・・・という、ほのぼのした物語。

ちょうどここを音読していた昇平が、突然「ぼくもサラダを作りたい。夕ごはんのお手伝いをして、これと同じサラダを作る」と言い出した。
実は、このサラダには、砂糖やかつお節、昆布なんてものが入ってくる。(砂糖はアリ、かつお節は猫のおすすめ材料。さて、昆布を勧めてくれたのはどんな動物でしょう?)
昇平の音読を聞きながら、ホントにおいしいのかなぁー、と疑わしく思っていたのだけれど、昇平がとても乗り気になっていたので、試しに作ってみても良いか、という気になった。
ちょうど翌日は病院に行く日だったので、帰りに材料を買ってくることで、話は決まった。

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さて、病院の帰り道に回ったスーパーで、カートを押しながら昇平に聞いた。
「材料は何が必要なんだっけ?」
「えーっと、キュウリ、トマト、それからキャベツ!」昇平がニコニコしながら答えた。
「それから、かつお節! 昆布! それから、それから・・・ハム!」
売場を渡り歩きながら、昇平の言う材料のうち、家にないものを買い物かごに入れていった。
「お砂糖、コーン、人参、酢と塩と油と・・・それと、コショウ!」
とうとう、お話にでてくる材料全部を思い出すことができた。よっぽど印象に残っていたんだね。

トマトは本当は大きいものを使うらしかったのだが、母の好みでミニトマトにしてしまった。キャベツは今の季節は堅くてサラダに向かないので、代わりにレタスを使うことにした。
昆布は、サラダ用と書いてある細切りのものを買おうとしたのだが、昇平に「四角く切った昆布を入れたい」と却下され、早煮出し昆布とかいうのを買わされた。これで本当においしいサラダができるんだろうか、と母はまた不安になった。

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家に帰って、エプロンをしめ、いざお料理開始。
母はとにかく材料を洗ったり、包装から出して手渡す係。
自分専用の包丁とまな板で、それを切っていく昇平。けっこう小さい頃から台所は手伝わせているので、手つきもだいぶ良くなっている。
気がつくと、私は昇平に背を向けたまま、別の夕食のおかずを作っていた。
昇平がサラダの材料を切る音が安定していたので、このままひとりでやらせても大丈夫だと、無意識のうちに判断していたらしい。自分でそのことに気がついて、ちょっとビックリした。

サラダを作る手順は、物語の通り。昇平はわざわざ自分のランドセルから国語の教科書を引っぱり出して、参考書にしていた。
問題の昆布は「水で柔らかくして入れる」と昇平が言ったのだが、それでも堅そうだったので、さっと茹でてから使うことにした。・・・後で判明したのだが、これが大正解だった。
最後に酢と塩とサラダ油でフレンチドレッシングを作ったが、そのときの味加減だけ母が担当した。
それ以外は、本当に昇平自身の作業。
最後にドレッシングをサラダにかけ、スプーンを使って、物語のゾウさんのように「くりんくりん」と(口で言いながら)混ぜ合わせ、昆布やかつお節入りのサラダが完成した。

試しに昇平と味見してみたら・・・あら〜、意外や意外。これがおいしい!
和風、と言うほどではないのだが、かつお節がいい味を出していて、そこに昆布がまたよく合っている。
昇平など、サラダの中から昆布ばかり拾って食べていたほどだった。
夕食に出したら、家族にも大好評。綺麗さっぱり売れ切れてしまった。

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昇平はADHDっ子なので、面白そうだと思うと、たちまちやってみたくなる。
でも、その性分のおかげで、こんなふうに楽しい体験もたくさんすることができるのだ。ADHDも悪いことばかりじゃないよなぁ・・・なんて、母は思ったりするのだった。


それにしても、昆布入りのサラダは本当においしかった。
また作ってみようっと。

[02/09/25(水) 00:15]

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