昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

反応

◎3月18日の記録

 リタリン  1回目 9:00  2回目 14:00
 
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夜、家庭教師から戻ったら、昇平はお父さんとお風呂に入っていた。
中をのぞいて「ただいま」と言ったら、私を見てすごく嬉しそうな顔をした。
それを見たとたん、『あっ、昇平もずいぶん表情豊かになったな』と思わず感じたのだが、すぐに『?』になった。昇平は、以前だってやっぱり同じように嬉しそうな顔を見せてくれていた。父が帰宅したとき、兄が帰宅したとき、祖父母が帰宅したとき・・・。別に表情自体がいっそう豊かになったわけじゃないのに、どうしてそう感じてしまったのだろう?
考えて、気がついた。昇平の反応が以前より良くなっていたのだ。
今までなら、お風呂で遊んでいたら、そちらに夢中になってしまって、母が帰宅してもろくに関心を向けないか、向けるにしても、父に声をかけられて気がつく、という感じだったのが、今回はすぐに自分から母の存在に気がついて反応したので、私には『表情豊かになった』と見えたのだった。

あとで旦那とその話をしたら、やはり、旦那も同じようなことを感じていた。
お風呂にはいるとき、昇平はゲームをしていたので、なかなか入りたがらなかったらしいのだが、「お風呂から上がったら、またゲームをやっていいから」と旦那が言うと、すぐに自分からゲームのスイッチを切って、お風呂に入る体制に入ったのだそうだ。
ひとつのことをしていると、なかなか次の行動に切り替えられなかった昇平が、そんなふうに気持ちの切り替えをできるようになってきたのだ。

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午前中には、こんなこともあった。
母と兄と3人で買い物に出かけたのだが、その時、茶の間から祖母が障子を隔てて昇平に声をかけた。
「昇平くん、どこに行くの?」
すると、昇平は祖母の姿が見えない状態で、即座に「○○(店名)に行ってきまーす!」と返事。
さらに、「誰と誰で行くの?」と聞かれると「おかあさんとー、おにいちゃんとー・・・昇平くんと!」。
「そう。行ってらっしゃい」「いってきまーす」。
私は廊下でそれを聞いていたのだが、姿が見えない状態で声をかけられて、それにしっかり反応して返事をしている昇平にちょっとビックリしてしまった。
茶の間をのぞくと、義母も「また進歩したね」と、感動したような顔をしていた。

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今までも、意識のチャンネルがしっかり対象に向いているときには、ちゃんと反応を返すことができていたのだが、意識を向けるための時間が今までよりすこし短くなってきたようだ。それと、周囲に気がつきやすくなってきた、ということなのだろう。
たぶん、本人の中では絶えずこういう変化が続いていたのだろうが、ある日突然、周囲の人間がそれに気がつくのだ。
かけがえのない宝物を、昇平は手に入れつつあるのだな、と感じている。

[01/03/19(月) 07:00]

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