昇平てくてく日記3

中学校編

見通しを立てるための支援・2

 昨日、昇平たち1・2年生は町内のあちこちの公共施設に分散して奉仕作業を行った。
 昇平にとっては初めての体験。協力学級のみんなと一緒に、歩いて15分ほどの場所にあるセンターへ行くという。大丈夫かな、ちゃんとできるかな。奉仕作業の意味がちゃんとわかっているのかな? 一日中働くことになるんだけど、「いつまでやればいいんだ!?」なんて怒ったりしないかな。飽きて一人で勝手なことをして遊んでいたりするんじゃないかな……。私はあれこれ心配になったけれど、当人はいたって落ち着いていて、前日に「軍手がほしいんだ」とだけ言って、後は普通の顔をしている。うう、本当に大丈夫かなぁ。不安だ……。

 そして、昨日の夕方。落ち着いた顔で帰ってきた昇平が、連絡帳と一緒に出したのが、このプリントだった。

Houshisagyou_3
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 「1年生の奉仕作業について」というタイトルの、特支学級の1年生2人だけのために担任が作ってくれた進行表。前日の確認の内容と、当日の日程が書いてある。
 行く日は、行くところは、班は、やることは、服装は、持ち物は……。
 当日の日程。8:20 昇降口前に移動する、8:30〜8:40 出発式(昇降口前)学年集会と同じ、8:40 移動を始める(○○センターへ)……

 いつ、どこで(どこへ)、誰と、何を、どうする。
 その作業の内容は。何時何分までその作業を行うか。
 それが終わってからはどうするか。


 以前、 「見通しを立てるための支援」というタイトルで記事を書いたけれど、まさにそれを実地でいく指導だ。
 そうか〜。これをやってもらったから、昇平は初めての体験なのに全然不安がらなかったんだ。そうか。そうか〜。
 なんだか、ものすごく感動してしまった。

 本人に聞いてみた。
「奉仕作業はどうだった?」
「みんながうるさかった」
 おしゃべりが多かった、ということね。まあね。一日中作業となれば、みんなおしゃべりもするでしょう。聴覚過敏がある昇平にはちょっとつらかったのね。でも、そこで怒ったり騒いだりすれば自己申告するのに、それをしなかったところをみると、一応ちゃんとできたのかな。
「自分で何点ぐらいの活動だったと思う?」
「60点くらいかな」
 これも、もしサボったり騒いだりすれば自己評価はもっと低くなるから、抜群に働いたわけではないけれど、まあ普通にできたよ、というところらしい。
 そうか。がんばったね〜。


 こんなこと、中学生ならできてあたりまえだろう、と言われるかもしれない。でも、それができない子たちはいる。そのままではできないけれど、支援によってできるようになっていく子たちもいる。できれば自分に自信が生まれてくる。
 昇平には見通しを立てるための支援が本当に必要だし、きっと、一緒に参加したL子ちゃんにもそうだったんだろうと思う。
 そして、実際に作業する場では、きっと協力学級の担任のE先生も彼らに目配りしてくださっていたはず。
 そうやって先生方の支援を受けて、昇平は少しずつ着実に自信を積み重ねている。本当にありがたいなぁ、と思った。


 2005年に発達障害者支援法が施行されてから丸3年。特別支援教育は小学校から中学校へ。まだごく一部の地域や学校に限られるのかもしれないけれど、それでも確実に動いてきているんだ、と感じている。

[08/11/06(木) 17:00] 学校

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