昇平てくてく日記3

中学校編

最近の昇平・2

 昇平のことを日記に書こうと思っても、特記することがほとんどない。毎日、平凡に穏やかに過ぎていく。


 毎朝、6時45分に起こすけれど、何度声をかけても返事ばかりでなかなか起きない。やっと目を覚まして、制服に着替えて、朝食をのんびり急いで(?)食べ、「早くしないと遅刻するよ!」という私の声に送られて登校していく。そのくせ、週末で今日は休みなどという日になると、誰に起こされなくても、ご機嫌で早起きしてくる。――とても普通な中学生。

 自転車通学にもだいぶ慣れた。ペダルをこぐ様子も力強くなってきている。
 でも、先日、下校途中で転んで自転車を少し壊した。自力で走って帰ってきて、落ち着いて報告。「途中で転んじゃった。来て来て」 ここがこんなふうなんだ、と説明するところを見たら、前輪のブレーキパッドが曲がっていた。行きつけの自転車屋さんに出張修理を頼んで、その日のうちに直してもらった。地元の自転車屋さんだと、こういうことをしてもらえるから助かる。
 「体がもう少し大きくなれば、自転車に負けなくなるんだけどね」修理しながら、自転車屋のおじさんが笑って言った。大勢の中学生が自転車で登校する様子を見守っているおじさん。昇平もその中の一人なんだな、と感じさせられた。見守ってくれる地域の目が温かい。

 期末テストが近づいてきている。今回はテスト範囲をコピーして目立つところに貼って、自分でそれを見ながら勉強してもらっている。
 今のところは、中間テストのやりかたを思い出して、なんとか自分でやっている。でも、そろそろ1週間前だから、勉強がテスト範囲に間に合うかどうかチェックしてあげなくちゃいけないな。前回のテスト勉強より、親は少し楽。――これも普通の中学1年生という感じかな。

 水曜日に町の特支学級合同のカレーパーティがあった。毎年恒例の交流会。
 昇平たちは、久しぶりで小学校のドウ子先生やゆめがおかの後輩たちに会った。「途中で○○ちゃんが泣いちゃって、俺、怒っちゃった。もう少しで××ってどなりそうになったけど、それは我慢した」 泣き声や喧嘩の声が超苦手なのは相変わらずだけど、少しは成長してきているかな?

 学級の連絡帳には、その日の様子が先生から一行コメントで書かれてくる。同じ用紙には、自分でその日の自分の行動を評価する表もある。「休み時間などに友だちと仲よく過ごした」という欄には「×」がつくことが多いから、決してトラブルなしというわけでないのはわかるけれど、先生から特記されてくることはほとんどない。だから、私も特に何も言わない。
 トラブルを経験しながら他人と一緒に生きるスキルを身につけていくこの子たち。「トラブルも想定内ですよ」そんな担任の声が聞こえてくるから。

 家庭学習をしながら「テスト勉強の量が多い!」と怒り、ゲーム終了時間が近づけば「後もう少し。これをやってから終わるから」と引き延ばしにかかり、夜一人で寝るときに、父母のいるところへやって来て大した用でもないことを話していき、「温暖化防止のためにエコ生活しなくちゃ」とか言いながら、平気で勉強中もゲームのスイッチを入れっぱなしにしている。(テレビ画面はオフにしているが、勉強が終わったらすぐゲームができるようにポーズ状態にしてある)
 そんな彼を注意すると、「俺はもうダメだ!」といつもの台詞を叫び、次の瞬間「いや。人生そんなに簡単にあきらめちゃダメだ」と自分で自分にツッコミを入れて、すぐ立ち直る。――うーん、たくましくなってきたねぇ。

 見えることは狭くても、わかることは多くなくても、他の子どもたちに比べて気持ちはまだ幼くても、それでもやっぱり普通の中学生。
 これが成長ってことかなぁ、と昇平を見ていてつくづく思う。


 そして。
 あんまり毎日が普通なので、この日記にわざわざ書くようなネタが見つからないでいる。

 頼りがないのは無事の知らせ。日記の更新が少ないのは、平凡でいる証拠。
 そんなふうに思っていてくださいませ。(笑)

[08/06/20(金) 08:29] 家庭

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